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「ビリギャル」は、今年最も流行した本の一つですが、内容はよくあるサクセスストーリーで、落ちこぼれた生徒が努力して一流大学に入ったという話です。

にもかかわらず、何故ここまで流行ったのか?その要因を4つの観点から考察します。

 

・はじめに

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冒頭でも書いたように、書籍の内容自体はよくある話であった為、お世辞にも大ヒットの要因とは言い難いです。そこで今回は、内容面でのヒット要因ではなく、ビリギャルのマーケティング戦略や心理学的なトリックに重きを置いて、考察しました。

どうやらビリギャルは、無数に存在する本の中から本書に注目を集め、手に取らせる為の仕掛けが、極めて巧みであったという事が分かってきました。

それが、以下の4点の要因です。

 

1.アイキャッチとしての写真の活用

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第1の要因としては、なんといってもアイキャッチの存在であり、目を引く表紙にあります。

そこに写っている写真には、世の中を斜から見ているような鋭い目つきで、読者を睨みつける金髪のギャル。強烈に何かを訴えるような視線には、この本に興味がある人もない人も、まず間違いなく意識を奪われてしまいますよね。

「こんな不良っぽいギャルが、慶応に受かったのか」と、見た瞬間に感じさせる力のある写真ですよね。

 

ちなみに、この表紙の女性をビリギャルだと勘違いしたまま書籍を買った方は、少なくないと思いますが、この女性は石川恋さんというモデルさんです。あえて本人ではなく、「ビリギャル」のイメージに合致した女性モデルを起用し、書籍が作り出す世界観より強固なものにした訳ですね。

結果として、無数に存在する書籍の中、この本の存在をアピールすることに成功しているという事を考えれば、アイキャッチとしての写真の効果は、大成功であると言えるでしょう。

写真一つとっても、「ビリギャル」はヒットするべくしてヒットした事が伝わってきます。

 

 

2.振り幅の演出

Brain, kid, child.

第2の要因は、振り幅の演出が巧みだったという事が挙げられます。

振り幅というのは、Aという言葉とBという言葉の距離の事です。AとBが、結び付きにくい言葉であればあるほど、読者により大きな印象を与える事ができます。実際、ビリギャルでは、この振り幅を巧みに利用する事によって、書籍タイトルにインパクトを出す事に成功しています。

一方の極には、学年ビリ、ギャル、偏差値低いといったように、「頭の悪さ」を連想させるワードを並べ、もう一方の極には、慶應大学、一年で現役合格といったワードを並べ、ドラマチックさを演出しています。

特に、合格大学が慶應大学であるというのは、一つのポイントだと思います。一般的なイメージとして、慶應大学は毛並みの良いお坊ちゃん・お嬢様を想起させる大学ですが、そこと金髪ギャルというのは、絶対に結びつきそうもないですよね。それによって振り幅の大きさを表現している訳です。

ちなみに、学年ビリかつ金髪ギャルというと、Fランクの底辺高校かのような錯覚を起こしますが、実際に通っていたのは、関西の名門お嬢様高校だったと言われています。

偏差値についても、名門校内の学内偏差値の話であって、しかも悪かったのは国語だけだったと言われています(しかも国語は、総合政策学科の受験科目ではない)。

まあこのように、ビリギャルを演出する上では、不都合な真実も多々あったようですが、前面に押し出していく情報をコントロールし、「振り幅」の大きさを見事に演出したことは間違いありません。

 

 

3.キャッチフレーズの利用

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第3の要因は、「ビリギャル」という、短くて発音しやすいワードを流行らせた、という点です。

キャッチフレーズというのは、口コミでの拡散やSNS経由での拡散などにおいて極めて重要で、話題にしやすさ・投稿のしやすさに大きな影響を与えます。

特に、今回ポイントとなったのは、この本の正式タイトルは非常に長いという点ですね。正確には、「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」というタイトルな訳ですが、これを覚えておる人は誰一人いない訳です。

つまり、もしこの本の事を話題にあげようと思った場合には、否が応でも「ビリギャル」という表現を使わざるを得ず、自然とこのキャッチフレーズが用いられ、流行していくことになるのです。いやー、本当に緻密に練られたマーケティング戦略だと思います笑

(ビリギャルの前にも「もしドラ」などがブームになった訳ですが、今回のケースと全く一緒ですよね。)

ちなみに、この書籍の発売当初から、「ビリギャル」という言葉を打ち出していたかは定かではありません。ネットなどでビリギャルという言葉がはやり、それに出版社が乗っかっただけではないか、と推測しています。

まあ、ビリギャルというキャッチーなワードが生まれたのは、運の要素も大きかったと思いますが、口コミやSNSでの拡散において、重要な役割を果たした事は言うまでもありません。

 

 

4.長さ=力のヒューリスティックスの利用

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第4の要因が、長さ=力のヒューリスティックスと言われるものです。

これは簡単に言えば、具体的な事例を多く挙げれば挙げるほど、ある命題に対する真実味が増し、読者に受け入れられるようになる、というものです。

ビリギャルの例で言うと、命題に当たるのは、「主人公の女子高生は、当初ものすごくバカだった」という事です。いかにバカだったかという事を示せば示すほど、慶應大学に現役合格したという事実が、よりドラマチックに描ける訳ですから、バカエピソードを挙げまくるというのは、非常に重要なのです。

実際、書籍の中では、

  • 聖徳太子をしょうとくたこと読んだ
  • 夏目漱石の代表作は、ぽっちゃりみたいなタイトルの本。
  • 芥川をちゃがわと読んだ
  • コロンブスの卵の事を、スクランブルエッグの一種だと勘違いした

などなど、無数のバカエピソードが紹介されています。

ここで重要なのは、あくまでも数です。まあ、よく考えてみると、どんなに頭の良い人であっても、1日に1回くらいはトンチンカンな発言って、あるはずですよね。だから、バカエピソードがある=その人はバカであるという事には、本当はならないはずなんです。

でも、そういったエピソードが真実かどうかという事は、読者は全く精査しません。具体例が、沢山あるかどうかという事が重要なのです。それによって、「これだけのエピソードがあるのだから、きっと本当に主人公の女の子はバカなんだろう・・・」という事を、読者に信じさせる事が出来た訳なのです。

 

 

まとめ

Happy child blowing dandelion

ここまで、ざっとビリギャルが流行した要因について、考察してきました。まあ他にも、「ストーリー展開が神話の法則に従った構成である」といった要因もあると思いますが、それはまたの機会にしたいと思います笑

いずれにしても、ビリギャルで用いられていたマーケティング戦略というのは、まさにお手本と呼べるような手法であり、ここまでの成功事例はなかなか無いと思います。

ネットビジネスにおけるセールスや教育の場面においても、十分応用可能なテクニックだと思いますので、是非あなた自身でも実践してみて欲しいです。

実際にビリギャルを読んで見たくなった方は、こちらをどうぞ。