競争戦略やファイブフォームモデルでお馴染みであり、世界的なマーケティングの権威と認知されているのが、マイケル・ポーターです。しかし、実はアカデミックな世界においては、私たち一般人が思っているほど、権威ではないという衝撃のニュースを目にしました。

ポーターとクリステンセン

マイケル・ポーター教授と言えば、マーケティングの世界においては知らない人がいない程の有名人、という風に認識されていますよね。また、「イノベーションのジレンマ」などで有名なクレイトン・クリステンセン教授なども、イノベーションの分野では権威とされています(ちなみに、二人ともハーバード大学教授)。

しかし、、、

実は彼らは、アカデミックな世界の中においては、それ程大きな功績はないとらいしいのです!!!(「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」第25章を主に参照)。

というのも、大学教授というのは基本的には、この世でまだ発見されていない法則を発表したり、それを統計的手法などを使って証明し、全く新しい論文を発表していくことが本分なんですよね。学生に対する指導とか、一般大衆向けに書籍を執筆するというのは重要ではあるけれども、やはり「第一優先は良い論文を書く」ということが多いわけです。

そしてそんなアカデミックの世界において、実はマイケル・ポーターは、学術論文が掲載されるような専門誌には約40年間のキャリアの中で7本の論文しか執筆していないとのこと。これは、アメリカの有名校の教授としては、圧倒的に少ない水準だそうです。

まあ、5年に論文1本以下のペースですからね。かなり少ないと言えるでしょうね。

つまり、マイケル・ポーターが行っていたのは、誰も発見したことのない「知の最前線」を開拓するというよりは、むしろ最前線の経営理論や考え方を、私たち素人でも理解出来るように翻訳した功績が大きいということなのです。

実際、ファイブフォースモデルとか、バリューチェーンの概念なんかを利用して、視覚的にも直感的にも分かりやすくマーケティング理論を解説していますよね。こうした試みは、アカデミックな世界ではあまり評価されないようですが、私たち一般人にとっては、有難いことこの上ない話です。

結局、マイケル・ポーターとは、現実世界と学術世界をつなぐ外交官であり、翻訳者なのです。

これは、クレイトン・クリステンセン教授についても同様です。彼の論文の学術専門誌への掲載数は決して多くはない一方、「イノベーションのジレンマ」といった書籍を通して、学術世界の考え方や理論を一般人でも理解出来る形に翻訳したことが功績なのです。

他にも、「マネジメント」で有名なピーター・ドラッガー、「ビジョナリー・カンパニー」で有名なジム・コリンズなども同様とのことでした(全く知らなかった汗)。

話は逸れますが・・・

ポーターは、純粋にアカデミックな世界においては、新奇性が高く最先端を行くような論文は少ないかもしれません。しかし、より多くの人間が理解出来るように翻訳したことにより、経営者などに多大な影響を与え、圧倒的な知名度と人気を獲得することができています。

つまり、こうした事例を「ビジネス」という視点で考えてみると、ターゲット設定と伝え方や広め方を工夫することによって、技術の差や知識の差は埋めることができる、ということがよく分かりますね。

ビジネスにおいては、「技術や知識の深さ」というモノサシ以外にも、「分かりやすさ」や「使いやすさ」といった指標を武器に勝負することも可能な訳です。切り口は、一つではないのです。

 

最後に

この記事は、「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」という入山章栄教授の本の内容に衝撃を受け、執筆しました。この方は他にも、「世界の経営学者はいま何を考えているのか」という本も書いていて、そちらも参考になります。

最先端の経営学に触れたいという方は、ぜひ読んでみて下さい。